必要かつ適切条項(necessary and proper clause)
第1編第8節第18項は、連邦政府に幅広い権限を認めたものだと解釈するものと、連邦議会に明示的に認められた権限を行使するのに最低限必要な手段をとる限りで認められる権限だとする狭い解釈をとるものとの対立があった。
Facts
連邦政府が国立銀行を設立することができるか否か
国立銀行メリーランド州支店の会計担当者である原告が、メリーランド州が州内の国立銀行支店へ課税する法律は合衆国憲法違反の課税であるとして訴えた.
Holdings
連邦最高裁は全員一致でこの訴えを認めた。- 連邦議会は限定列挙された立法権限しかもたず、銀行設立は明示されていないが、国立銀行設立が連邦議会の立法権限内にある。
- 明示の立法権限を実施するための合理的な手段については、当然に連邦議会に立法権限があり、実際に、第18項の必要かつ適切条項がまさにそれに対応している。そして、手段として合理性があるか否かの判断については、連邦議会の判断を原則として尊重する。
- メリーランド州の課税は、合憲かつ正当な連邦政府の権限行使を妨げる。州法と連邦法が矛盾し衝突する場合には連邦法が優先すると憲法で明記している。課税権とはその対象を破壊する権限にもなり、州権と連邦政府の権限の衝突は明らかで、本件州法は違憲。
Note
最高法規条項の2つの機能- Preemption type - Gibbons v Ogden (1824) 連邦法と州法に抵触がある場合、連邦法がもっぱら適用される。
- Immunity type - McCulloch v. Maryland (1819) 州が連邦政府の機関に対し課税その他を行うことは、連邦政府の権限行使を優位にあると規定する最高法規条項に反し、違憲。